「お盆には、霊がちゃんと家に帰ってこれるように、
迎え火と送り火をするのよ」
へぇー、そうなんだー。
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十台の頃、母を亡くして、
初めて知った、迎え火と送り火。
そんなことしてる家なんて、あったっけ?
というぐらい、まったく無関心だったんです。
自分でやってみて、意外とあちこちの家の前で、
火を焚いているのに、やっと気づいたぐらい。
それからのお盆は、迎え火で、亡き母を家に迎え入れ、
「この1年、こんなことがあったよ、あんなこともあったよ」
と、いろいろ話して、
「元気でねー」
と、送り火で見送って、
来年のお盆までは、ちょっと離れたところに行く。
そんな、お盆が、私の新しい常識になったんです。
それから十年、
親戚づきあいの、濃い家庭に育った主人と、
結婚してみたら、
「見たことも、聞いたこともない!」(ドーン!)
え!えぇーー!!Σ(´□`ノ)ノ
同じ出身県なのに、どういうこと??
すると、どうも、地域で違うようなんです。
一般的な、迎え火や送り火のやり方を中心に、
珍しいやり方、後処理の方法まで、
詳しく、説明していきますね。
送り火と迎え火の方法は?
先ほども言いましたが、送り火や迎え火は、
お盆に、亡くなった人が帰ってくるとき、
そして、あの世へ戻るときに、迷ってしまわないよう、
道しるべとするものなんです。
送り火と迎え火について、それぞれ見ていきますね。
ご先祖様を迎える迎え火
[colored_box color="light‐red" corner="r"]お盆の最初の日(7月13日、8月13日など)に、
玄関前で、松やおがら(麻の皮をはいだ芯部分)を、
素焼の焙烙(ほうろく)など、燃えないものの上で、燃やします。[/colored_box]
煙が道となって、火を目印に、
あの世から、ご先祖様が帰ってくるんです。
これが、一般的な迎え火です。
ちなみに、おがらの麻には、「清らかにする」という意味が、
そして、松の方は、
世界の火祭りや、聖火のトーチ、自由の女神のトーチなど、
聖なる火を燃やすときにも、使われるものなんです。
煙は、害虫除けという意味もあったり、
神社では、ご神木として、祀られていたり、
日本人にも、なじみ深い木ですよね。
地域で違う迎え火
地域によって、いろいろと違いのある迎え火。
どんな迎え火があるのか、紹介していきますね。
[icon image="arrow3-r"]お墓で迎え火
お墓で迎え火をして、提灯に火を移して、
お墓から、家まで歩いて連れて帰ってきます。
[icon image="arrow3-r"]海で迎え火
海と、人の生活が密接な地域では、
海で迎え火、送り火をするところも。
[icon image="arrow3-r"]精霊馬(しょうりょううま)を飾る
東北、関東、北陸などの地方では、
迎え火と一緒に、精霊馬や果物などを飾ったりします。
諸説ありますが、
ご先祖様は、パッパカパッパカと、馬に乗ってきて、
牛に、荷物を載せながら、
ゆったりと、あの世へ戻っていくとか。
きゅうりとなすに、割りばしで足を作ってあげて、
馬と牛に見立てたり、
藁で作った馬と牛を飾ったりします。
中には、馬や牛じゃなく、
おもちゃの車や飛行機を飾るところも!
ご先祖様が好きだった愛車だと、
嬉しいかもしれませんね。
(私のときは、リムジンでお願いします。)
ご先祖様が、落ちないように、
そうめんで、手綱をしてあげたり、
牛に、味噌や塩など、お土産を、
載せてあげたりする家庭も、あるんだそうです。
私の地域では、見たことないんですが、
なんだか、心が温まりますね。
[icon image="arrow3-r"]毎日、迎え火
基本的に、迎え火は1回のみなんですが、
これも、地域によっては、
お盆の間、毎日行う、なんてところも。
火事だけには、気をつけてください。
つぎに、送り火について、見ていきますね。
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ご先祖様を送る送り火
[colored_box color="light‐red" corner="r"]お盆の終わりの日(7月15,16日、8月15,16日など)に、
迎え火と同じように、火を燃やして、あの世へ送ります。[/colored_box]
各地で行われる盆踊りや、夏祭りの花火にも、
送り火の意味があるんです。
家のない、帰るところのなかった霊たちを、
見送ってあげる、ということかもしれませんね。
また、地域での変わった送り火も、
紹介していきますね。
地域で違う送り火
[icon image="arrow3-r"]山で送り火
京都や奈良が有名ですが、聖なる山がある地域では、
火で文字をあらわす、大文字送り火をするところがあります。
他にも、福岡、高知、広島、静岡、
山梨、栃木、秋田などでも行われています。
(お盆以外の送り火も、含みました)
[icon image="arrow3-r"]海や川で送り火
海や川と生活が深い地域では、灯篭を海に流す、
精霊流し、灯篭流しをするところもあります。
厳かに、灯篭を流すところもありますが、
長崎の精霊流しは、にぎやかに送り出します。
霊を載せる大きい船を、爆竹を鳴らしながら、
街をまわって、とにかく、すっごく派手に送ります。
さみしくないように、という思いが、
込められているのかもしれませんね。
他にも、船に果物などのせて送る地域は、
あるんですが、環境保護のために、
だんだんと減ってきているんだそうです(・ω・`)
[icon image="arrow3-r"]精霊馬で送り火
迎え火にも出てきた、精霊馬ですが、
帰りは、牛で帰ります。
帰りも、馬と牛を一緒に飾りますが、
馬にご先祖様、牛には荷物を載せて帰るから、
と伝わる地域もあります。
来るときには、家の方を向いて、
帰るときには、家の外を向かすところや、
来るときには、東を向いて、
帰りは、西を向かす、という地域も。
処分するときは、こんな方法があります。
[deco_bg image="paper1" width="400"]
- 埋める
- 塩で清めて、白紙に包んでゴミに
- お焚き上げ
[/deco_bg]
[icon image="arrow3-r"]お墓やご神木
提灯で、ご先祖様をお墓や、ご神木に誘導して、
そこで、送り火を焚いて、送ってあげる地域も。
最後に、マンションの場合や、
浄土真宗の場合についても、話していきますね。
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その他
[icon image="point-b-bk"]火をつけるのが難しい場合
迎え火をしたいと思っても、マンションなど、
火をつけるのが、難しい場合ってありますよね。
そんな時には、
[colored_box color="light‐red" corner="r"]
- 燃えないものを下に敷いて、すぐに終わらせる
- 家の中の、盆提灯だけで済ませたりする
[/colored_box]
なんてことが、多いようです。
周りに、火がうつらないように、
気を付けてくださいね。
[icon image="point-b-bk"]浄土真宗の場合
浄土真宗では、霊があの世から帰ってくる、
という考え方はしないんです。
お坊さんによると、本来の仏教は、
生きている人のタメの、宗教なんです。
死後のことは、考えなくていいし、
亡くなった人は、いつも近くにいると思えばよく、
「なんでまた、あの世に返さないといけないんですか??
日本独自の、死は「ケガレ」と言う考え方が、
あの世へ戻って欲しい、と望んでいるんじゃないんですか?」
と。
まぁ、考え方は、人それぞれなので、
しなくてもいいし、してもいいと思います。
私は、浄土真宗なんですが、
「迎え火のときに、フラッと火の向きが変わったら、
ご先祖様が帰ってきた合図」
と、親戚から聞いていたので、
母が帰ってくるのが嬉しくて、やっていました。
主人の家は何もしないので、やらなくなりましたが、
ご先祖様や、家族の絆を、改めて気づかされる日と考えて、
過ごしていこう、と思いました。
ぜひ、あなたも、ご先祖様や身内の人へ、
感謝の気持ちを込めながら、迎え火・送り火をしてみてください。
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